新築やリフォームを検討している方の中には、「リビングライト用のコントローラー(リビングライコン)を設置する、また設置するならどの製品が良いのか迷っている」という方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと「最安を求めると人によってそれぞれ違うが、リンクプラスが最も自由度が高く優れている」です。
アレクサ(Amazon Echo)とリンクプラスを組み合わせることで、より便利で経済的なスマート照明環境を構築できます。
とは言え、リビングライコンやコイズミ照明のメモリーライトコントローラーが良い場合もあるので、どこよりも分かりやすく解説していきます。
リビングライコンとは
まずはリビングライコンについて説明していきます。
リビングライコンはPanasonic から販売されている、複数のライトをシーン登録して管理できるスイッチです。

リビングライコンの特徴
リビングライコンは繋ぎたい照明(回路)の数、また登録したいシーン数に応じて大まかに3種類の商品があります。
| シーン数 | 回路数 | タイプ | 小売希望価格(税込) | オススメ用途 |
| 6 | 5 | 調光調色 | 92,400円 | リビング・ダイニング・AVルーム |
| 4 | 5 | 調光調色 | 89,100円 | リビング・ダイニング・AVルーム |
| 4 | 5 | 調光のみ | 64,900円 | リビング・ダイニング・AVルーム |
| 4 | 5 | オンオフのみ | 40,700円 | リビング・ダイニング・AVルーム |
| 4 | 3 | 調光調色 | 64,900円 | 寝室・子供部屋・書斎 |
※照明の回路とは・・・
スイッチを押したときにまとめてつく照明のグループ。
(例 スイッチを押したらダウンライトが3灯点灯=1回路
この他にも必要な場所に適宜設置できる子機やリモコンがオプションで購入できます。
リビングライコンのメリット
スイッチがまとめられて壁面がスッキリする

画像引用:Panasonic リビングライコン ラインアップ
6つあるスイッチを1つにまとめられるという点で壁面がスッキリするという点で優れています。
必要に応じて登録シーン数が少ない価格の安いモデルも選べる
最も機能が優れている6シーン5回路の機種だと92,400円ですが、4シーン3回路の機種は64,900円と3万円ほど安くなっています。
必要な回路数とシーン数をあらかじめしっかりと考えておけば、安いモデルでも事足りることも。
日本で一番リビングライコンを売っていると自負しているジュータクギャングの押村さんも「実際シーンを6個使っている人は少ない」とおっしゃっていました。
小さい平屋だと照明の数も大きい家ほどはないので、シーン数が少ないモデルも検討してみましょう。
2台連携で最大10回路までシーン管理可能
リビングライコンは必要な回路数に応じて2台目を連携して使うことが出来ます。
最大で10回路まで登録することが出来ます。これは次に紹介するコイズミ照明のメモリーライトコントローラより多い数字なので、10回路登録したいという人はリビングライコンを選択する大きなメリットになります。
リビングライコンのデメリット
シーンが6つまでしか作れない
回路の数は親機の増設で最大10回路まで増やせても、シーンは変わらず6つまでしか登録することが出来ません。
メリットの項目で実際に6つもシーンを使っている人は少ないと書きましたが、我が家ではさらに多くのシーンを活用しています。
とはいえ、シーンを6つ以上使う人はまれなので、これはかなり照明のシーン分けにこだわる人にだけ影響するデメリットです。
照明を個別に遠隔操作できない
リビングライコンはあくまでもシーンを作る機械なので、シーンを呼び出す以外の事は出来ません。
なのでアレクサなどに接続しても、回路ごとに設定することが出来ません。
例えば、「リビングの照明の照度を50%にして」や、「キッチンのライトを消して」など、単一のライトを操作することは出来ません。
また、個別の照明がネットワークに接続されているわけではないので、外出時に現在の点灯状況を確認することもできません。
個々の照明を調整するのが面倒くさい
リビングライコンは通常のスイッチが集約された、いわばスイッチの集合体でです。
見た目がスッキリする代わりに、シーン登録した以外の事をしようとすると、わざわざフタを開けて照明の操作をする必要があります。
リビングにはこのシーン!とバッチリ作ったつもりでも、日中だと天気による照度の差であともうちょっと明るい方が良い、あともうちょっと暗い方が良いといったことが暮らしていて出てきます。
そういった時の調整は少々面倒くさくはなってしまいます。
徐々に明るく、暗くという調光が出来ない
リビングライコンではオンとオフを切り替えることしかできません。
我が家では夜になると就寝に向けて、リビングの間接照明の照度を1時間かけて徐々に下げるようにしています。
また朝には起床を促すために、設定時刻になるとライトが付き徐々に明るくなるようにしていますが、リビングライコンだとこういった操作はできません。
対応する照明器具が限られる
リビングライコンはPanasonicの製品です。
なのでリビングライコンも、基本的にはPanasonic製の照明器具にのみ対応しています。
(他社の照明が使えるケースもあるので、詳細は工務店やメーカーの担当者に聞くのがよいです)
メモリーライトコントローラとは
コイズミ照明から販売されている複数の照明を一括管理できるスイッチです。
リビングライコンと同じことが出来る商品になります。
メリット、デメリットについてはリビングライコンとほぼ同じですが、接続できる回路数や登録できるシーン数が異なります。比較は最上位のもので行いました。
| 接続回路数 | 登録シーン数 | 価格 | |
| リビングライコン | 5 | 6 | 92,400 |
| メモリーライトコントローラー | 4 | 5 | 54,800 |
メモリーライトコントローラーの方が値段が抑えられているように思いますね。
ただし2線式のリビングライコンと違い、メモリーライトコントローラーは4線式。
施工費がメモリーライトコントローラーの方が割高になるので、最終的な金額の差はこの定価よりも近づいてくると思われます。
リビングライコンかメモリーライトコントローラーで迷ったら
工務店、もしくはハウスメーカーが標準としている方を選ぶ方が無難です。
どちらのライコンを選んでも、ライコンによって対応する照明が変わってきます。
ライコン選びは家の中の照明すべてに影響してくるので、工務店、ハウスメーカーが標準にしている照明を選んだ方が、仕入れによる割引の恩恵を受けやすいと思われます。
リンクプラスとは
リンクプラスとはPanasonicの壁スイッチ、アドバンスシリーズのラインナップの1つです。
Bluetoothでスマートフォンとスイッチがリンクして、家じゅうの照明が手軽にコントロールできます。
リンクプラスの特徴
個別のスイッチとして使いながらも、遠隔操作にも対応しているのが最大の特徴です。
リビングライコンやメモリーライトコントローラーでは、1か所にスイッチが集約されているので良くも悪くも個別のスイッチを操作するのは少し手間ですが、リンクプラスだと通常の形状のスイッチなので、スイッチとして個別操作しやすいです。

画像引用:Panasonic リンクプラス埋め込みスイッチON/OFF
リンクプラスは使い勝手によって2種類選べます。
・ハンドルタイプ
従来のカチカチ押せるタイプのスイッチです。
| タイプ | 機能 | 小売希望価格(税込) |
|---|---|---|
| 2線式 | ON/OFFのみ(1つ) | 17,600円 |
| 2線式 | ON/OFFのみ(2連) | 28,600円 |
| 3線式、4線式 | ON/OFFのみ(1つ) | 16,500円 |
| 2線式 | ON/OFF 調光(1つ) | 23,100円 |

画像引用:LED 逆位相調光スイッチ(ロータリー式)(リンクプラス)(3.2A)(2線式)
・タッチタイプ
タッチするだけでON/OFF、また調光が出来るタイプです。調光タイプについてはハンドルタイプよりフラットなデザインです。
| タイプ | 機能 | 小売希望価格(税込) |
|---|---|---|
| 3線式、4線式 | ON/OFFのみ(1つ) | 17,600円 |
| 3線式、4線式 | ON/OFFのみ(2連) | 28,600円 |
| 2線式 | ON/OFF 調光(1つ) | 24,200円 |
| 3線、4線式 | ON/OFF 調光(1つ) | 23,100円 |

リンクプラスのメリット:最も自由な使い方が出来る
オプションのリンクプラス用無線アダプタを導入しアレクサと接続することで、リビングライコンやメモリーライトコントローラーより自由な使い方が出来ます。
| 商品 | 小売希望価格(税込) |
|---|---|
| リンクプラス用無線アダプタ | 37,400円 |
徐々に明るく、徐々に暗くが可能
調光機能付きの照明の場合、アレクサと接続することで徐々に照度を変えることが可能になります。
具体的には
- 起床時にだんだん照明を明るくする
- 就寝に向けて照度を少しずつ落としていく
こんなことが出来るようになります。
リビングライコンやメモリーライトコントローラーは、アレクサと組み合わせてもこのような操作はできないので、照明をより自由に使いたい人には注目の機能です。
電気がついているかどうかが家の外からでも分かる
専用のアプリ、またはアレクサと接続することで、外出中でも照明がついているかどうか分かります。
外出時に、「あれっ、電気消したかな?」となった時に確認して、遠隔で照明のON/OFFが出来ます。
これもリビングライコンなどでは出来ないです。
リビングライコンなどはアレクサと接続して照明のON/OFF自体は出来ますが、実際に照明がついているかどうかは外からだと確認できません。
シーン登録が最大180個できる
照明器具をまとめて操作するためのグループを、最大で9個まで設定することが出来ます。
例えば「リビング」「ダイニング」「寝室」など。
かつ、そのグループ内で20個までのシーンの登録が出来るので、理論上は9×20で180個ものシーンを登録することが出来ます。
無線アダプタに50回路まで登録できる
アレクサと接続したり、屋外から遠隔で操作できるようにするためにはリンクプラス専用の無線アダプタを使用しなければいけません。
しかしながら、無線アダプタさえ設置してしまえば、50個もの照明をリンクプラスでスマート化することができるのです。
壁スイッチでOFFにしても遠隔操作可能
少々分かりづらいですが、これがめちゃくちゃ便利です。
比較でスマート電球の話をしますが、スマート電球をつけた場合、壁スイッチでOFFにするとその後に
「アレクサ、スマート電球をつけて」
と言っても、照明に行く電気が切れた状態になっているので反応しません。
壁スイッチでOFFにしていたら、もちろんスケジュール機能も使えませんし、デバイスがオフラインになっていますとしか表示されません。
しかし、これがリンクプラスなら壁スイッチでOFFにした後でも、声での操作やスケジュール機能でのシーン管理なども問題なくできます。
リンクプラスのデメリット
自由度が高いリンクプラスですが、デメリットも確かに存在します。
多用すると一番高額になる
普通のスイッチであれば数千円で付けられるところ、リンクプラスだと1つで2万円ほどしてしまします。
その上、自由度を上げるためのリンクプラス用無線アダプタはもはや4万円近く高額。
スイッチ3つとアダプタで10万円ほどになってしまいます。
家まるごと一軒リンクプラスにしたら相当な額になるので、必要最低限に留めるのが無難です。
専用のリモコンはあるが、シーン登録が5つだけ

リモコン(税込16,500円)を購入すれば、無線アダプタを買わなくても5つまでは簡単にシーンの切り替えと一括消灯行うことができます。
リビングライコンやメモリーライトコントローラもシーン数が5個程度なので、たいして変わらないですね。
専用アプリの動作がかなり遅い
リンクプラスにはスイッチアプリという専用の照明操作アプリがあります。
我が家で使っているからこそ分かるのですが、このアプリの起動が非常に遅い。
立ち上げてから操作画面になるまで、約10~15秒ほどかかります。
実際、このアプリで照明を操作することは少ないのでそんなに気にはならないですが、使用する時は毎回ストレスを感じます。
人感センサーライトはリンクプラスにはならない
夜の照明をデザインする時、廊下の人感センサー付きライトは消しつつ、足元のライトだけ点けたいというシチュエーションはよくあるでしょう。
こんな時、人感センサーライトがリンクプラス対応なら、スケジュール機能やシーンの利用で可能になるのですが、残念ながら人感センサーライトはリンクプラスの機能が付けられません。
我が家はSwitchbotとの連携で、ダウンライトを人感センサー化したので、気になる方はこちらの記事も参考にしてみてください。方法や実際の使用感について書いてあります。
リビングライコンをアレクサで音声操作するためには・・・
リビングライコンも別売りのリモコンとSwitchBotハブミニ、またはSwitchBotハブ2を組み合わせることでアレクサで音声操作やシーンを自動化することができます。
※SwitchBotハブ3でも出来ますが、価格が高すぎるため以上の2つを推奨します。

引用:ハブミニとハブ2とハブミニ(Matter対応)の相違点
リモコン機能だけでよければハブミニを、温湿度や照度もオートメーションに組み込みたければハブ2を選びましょう。オススメはハブ2です。少し値段は上がりますが、外出時でも室温が分かったり、照度で照明の起動をコントロールできるので非常に便利です。
リモコンは赤外線で対象機器に指令を出して操作しているのですが、SwitchBot ハブシリーズではリモコンが出す赤外線を学習、ボタン毎に登録することで専用のアプリから遠隔で操作できるようになります。
まとめ
リビングの照明コントローラー選びは、予算と求める機能のバランスが重要です。
こんな人にオススメ
リビングライコン・メモリーライトコントローラー
- 壁面をスッキリさせたい
- シーン登録は4〜6個あれば十分
- 初期費用を抑えたい(4万円〜9万円程度)
- 照明の細かい調整はあまりしない
- 工務店やハウスメーカーの標準仕様を活用したい
リンクプラス
- 照明を自由にコントロールしたい
- 徐々に明るく・暗くする調光機能が欲しい
- 外出先から照明の状態を確認・操作したい
- 多くのシーン(最大180個)を活用したい
- 壁スイッチでOFFにしても遠隔操作したい
- 予算に余裕がある(10万円以上になる可能性)
最もコスパが良い選択肢
リンクプラス(必要な場所のみ)+ 無線アダプタ + Amazon Echo
よく使うリビングやダイニングなど、数カ所だけリンクプラスにして、その他は通常スイッチにすることで、コストを抑えつつ最大限の自由度を確保できます。
最終的な判断基準
- 工務店・ハウスメーカーの標準仕様を確認
- 使いたいシーン数を具体的にイメージ
- 予算と相談
- 将来の拡張性も考慮
照明は毎日使うものだからこそ、自分のライフスタイルに合った選択をすることが大切です。
リンクプラスやアレクサを活用したスマートハウスは、工務店やハウスメーカーもまだまだ勉強不足だったりするので、しっかり情報を集めましょう!
