廊下のない平屋住宅では、トイレの音漏れが大きな悩みの種になります。特に引き戸を採用した場合、想像以上に音が漏れることも。
本記事では、実際にスマホのデシベル測定機能を使って音漏れを数値化し、我が家の経験をもとに効果的な対策方法を紹介します。
これから平屋を建てる方や、現在音漏れに悩んでいる方の参考になれば幸いです。
我が家の間取りとトイレドア仕様
まず我が家の間取りはこんな感じ。
トイレとリビングのソファは直線距離でだいたい4~5mといったところです。
それでトイレのドアの隙間は下の画像の通り。

引き戸だとこれくらい隙間だらけです。9㎜の隙間がドアの上から下まで空いています。

隣にある開き戸と比較しても一目瞭然。
こちらは開き戸の写真ですが、扉とフレームが触れる位置にパッキンがあるのが分かります。

一方引き戸にはパッキンは無く、閉じた状態でもフレームと隙間が出来てしまっています。

唯一ドアの下部だけは引き戸の方が小さかったです。
開き戸はドアの3方をしっかり密閉している代わりに、24時間換気のためにアンダーカットを設けています。
引き戸はそもそも隙間ガバガバでアンダーカットで換気量を確保する必要がないので、下部だけで比較すると開き戸の方が隙間が大きいことになります。

この構造的違いが、音漏れ性能に大きく影響します。
【実測データ】トイレ音漏れの検証実験
さっそくですが、どれくらい聞こえるのか。。。
分かりやすいように実験してみました!
実験方法
- トイレ内で水差しを使用して約70デシベルの音を発生(排尿時の一般的な音量)
- リビングでスマホのデシベル測定機能で音量測定
- 引き戸と開き戸で比較検証

ペーパーホルダー上で音量を測定したときのデータが以下の通りです。波形に注目してみてください。

水を落とす前と後の音も拾っているので、平均値は55.3になっていますが、波形で見るとだいたい70デシベルくらいになっています。
引き戸の音漏れ音量データ
この排尿を模した音を、今度はリビングで測定してみます。
結果
- 音量: 約40デシベル
- 評価: かなり音漏れしている

数字だけだと分かりづらいですが、結構聞こえてます。40デシベルは木々のそよめきの音相当みたいです。
ただ木々のそよめきのように心地良いものではないですが(笑
開き戸の音漏れ音量データ
参考までにトイレの隣の浴室の開き戸でも実験してみました。
結果
- 音量: 約35デシベル(-5デシベル)
- 評価: 引き戸より明らかに音漏れが少ない

平均で5デシベル程下がりました。
ん?あまり変わらないと思われるんじゃないでしょうか。
確かに数字だけで見ると大した差ではないのですが、ここの5デシベルは案外差が大きいみたいで、体感では結構違って感じます。
引き戸より明らかに音漏れがマシです。
見落としがちなトイレの音漏れ要因
さて、話をよりリアルにして実生活の話をすると、大の音は気になったことは無いですが、小の音は聞こえてきてしまいます。
その中でも特に気になるのが以下の2点です。
1. トイレットペーパーホルダーの音
- 実測値: 35デシベル(リビングで計測)
- 問題: 金属製ホルダーは特に音が響く
- 対策: 樹脂製など音の出にくい素材を選択
ノーマークだったのですが、トイレットペーパーホルダーの音が一番音漏れするということが分かりました。
我が家はカッコよさを重視して、金属製のトイレットペーパーホルダーを施主支給したのですが、これは正直失敗でした。

数値上ではペーパーホルダーの音漏れは35デシベル程。
そこまで大きくないはずですが、周波数の問題で排尿の音の比じゃないくらい聞こえます。
ペーパーホルダーは落とし穴だと思うので、樹脂製のペーパーホルダーを採用するなどして対策しましょう。
2. 水を流す音
水を流す音はそもそも排尿の音より大きいですし、引き戸じゃ太刀打ちできそうもないです。
どうしても許容できない場合は間取りの工夫をするしかないです。
3. 高気密住宅特有の音響特性
- 室内の音が反響しやすい
- 想定以上に音が伝わる
空調管理ではプラスに働く気密性ですが、音問題だけでいうとこんなデメリットもあります。
逆に外の音はほとんど聞こえなくなりますよ!いつもはうるさいセミの鳴き声が全然聞こえませんでした!
追記:音漏れ対策をしてみた!
あまりにも気になるので音漏れ対策をしました。
内容はこちらで確認してみてください。これなら廊下無しの平屋のトイレでも少しは音漏れを防げます。
※【廊下の無い平屋】我が家で効果のあったトイレの音漏れ対策!
引き戸を選んだ理由と後悔ポイント
トイレに関しては引き戸にするか開き戸にするかかなり悩みました。
それでも引き戸を選択したのは2つの理由からです。
引き戸を選んだ理由
- 内開きドアの安全性への懸念
- 狭い空間での使い勝手
開き戸で内開きにすると中で倒れた時にドアが開けられない、外開きだと廊下にいる人に当たるかもしれないという問題がありました。
引き戸だと確実に開き戸よりも音漏れすると分かっていたので、本当に引き戸で大丈夫かは建てる前に色々実験してみました。
前に住んでいた家で実際に5mくらい離れて、トイレ内で用を足した時の音を想定したサンプル音声を流して音漏れを確かめたり、トイレ内で音楽を流せばカモフラージュ出来るのではと試したりして、これなら何とかなると思い引き戸を採用しました。
結果、高気密で室内の音が響きやすいという特徴もあるからか、想定より音漏れがする結果に(汗
通気遮音ドアという建材も見つけて工務店側に提案はしたのですが、結局採用はせずに普通に上吊りの引き戸で建てました。
その時の説明では「ドアだけじゃなくて周りの壁も全部防音のために断熱材を入れたりする必要があります」みたいな説明だった気がします。
廊下の無い平屋でトイレに引き戸を採用するなら、周りの壁に断熱材を入れて防音したうえで、遮音性と通気性を兼ね備えたドアを採用するというのが良いかもしれませんね。
まとめ:廊下なし平屋のトイレ音漏れ対策
廊下のない平屋住宅では、トイレの音漏れは避けて通れない問題です。特に小さな平屋ほど音の問題は深刻になります。伝えたいメインのポイントとしては
- ドア選択は慎重に(開き戸 > 引き戸)
- 間取り計画時に音の伝わりを考慮
この2点です。
30坪サイズで建てる方なら、リビングから離れた場所にトイレを配置したうえで、リビングとトイレの間に開き戸を2枚設置すると音問題はかなり緩和されると思います!
音の問題は住み心地に直結する重要な要素です。本記事のデータを参考に、最適な対策を見つけていただければ幸いです。