わが家はC値0.1の高気密住宅。
そんなわが家も薪ストーブ(ネスターマーティンH33)を使用しています。
今回は高気密住宅で薪ストーブを実際に使ってみて分かったこと、注意点についてお知らせします。
特に
- 負圧・逆流対策
- 一酸化炭素中毒対策
- 薪の使用量
- どれくらい暖まるか
- どれくらい暖かさが維持されるか
といったことを中心に、使ったからこそ分かるリアルな意見を書いていきます。
高気密住宅で薪ストーブを導入する人は少ないとは思いますが、参考になると幸いです。
負圧・逆流対策
このページを見に来るほどの人なら知っているとは思いますが、逆流の原理だけ説明しておきます。
そもそも負圧とは、家の中の気圧が外の気圧より低い状態のことを指します。
24時間換気が行われていると、家の中の空気を排気している関係上、どうしても負圧になりやすくなります。
負圧になると、外の気圧と同じになろうという力が働くため、隙間という隙間から空気を引っ張るようになります。
この時に薪ストーブから煙が逆流してしまうのです。
薪ストーブ炉内の温度が高ければ、上昇気流の力が強まり空気が煙突を上る力(ドラフト)が得られるのですが、温度が低いと十分なドラフトが得られないため、室内の負圧に負けてしまうという理屈です。
その負圧の影響を少しでも軽減するために、わが家では薪ストーブに直接外気導入をしています。
通常薪ストーブは燃焼のために室内の空気を取り入れるのですが、
・せっかく暖めた空気をまた取り入れて煙突から捨てることになるので、もったいない
・負圧が強いと空気が取り入れられず、しっかり燃焼しない
といった問題があります。
外気導入を取ればこの辺りが解決・軽減すると知り採用しています。
外気導入については結露のおそれがあるため推奨していない意見もあるのですが、煙・一酸化炭素の逆流と天秤にかけてわが家は採用することにしました。
外気導入の効果はいかに・・・
外気導入をしているので大丈夫だ!と思っていたのですが、普通に逆流しました!
逆流は以下の3つの時に起こります。
・焚きつけ時
・空気を絞りすぎた時
・ほとんど消えた時
焚きつけ時
焚きつけ時は着火した火の回りを促進するために少し薪ストーブの扉を開いておきます。その関係上、この時に負圧だと煙が室内にガンガン入り込んできます。
焚きつけ時は十分なドラフトが無いので、わが家の場合横にあるリビングの窓を少し開けないと必ず煙が逆流します。
窓を開けるの嫌だなーと思って外気導入をつけたのですが、高気密住宅だと焚きつけ時の窓開けは必須ですね。
*対策:焚きつけ時は窓を少し開ける
空気を絞りすぎた時
薪を節約しようと空気を絞って燃焼させたら、部屋が徐々に部屋が白くなりました。
薪ストーブには空気を絞るダイヤルなどがついているのですが、わが家では空気を最も絞ることはできません。
高気密高断熱住宅なので、最小の空気で長く燃やして温度維持をしようと思っていたのですが、実際には負圧の関係でそういった運用にはなっていません。
巡行運転になるまでそれなりに燃やして、その熱を維持している感じです。
*対策:巡行運転までは空気を絞らない。絞っても最小にはしない。
ほとんど消えた時
熾火の赤さも消えて、火がもう見えなくなってきたときに、ドラフトが落ちて空気が逆流してきます。
しかもこの時に厄介なのは一酸化炭素。
この状態になるのはだいたい就寝中などが多いので、ここは確実に解決しておかないといけないところです。
*対策:次のチャプターで解説
負圧による一酸化炭素中毒対策
薪ストーブで一番気を付けるべきなのは一酸化炭素。
一酸化炭素は無色、無臭なので気が付かないうちに中毒にかかってしまうリスクを考えると怖い。
ということで、万が一に備えて、わが家では一酸化炭素チェッカーを購入しました。
ほとんど消えた時の一酸化炭素量を解決するためには、24時間換気で排出する空気量を調整し、負圧を軽減するしかありません。
ここで問題になるのが二酸化炭素濃度とのバランス。
燃焼を促すため、24時間換気を薪ストーブの運転中は消すことを推奨しているサイトもありますが、ここでは断固反対です!
24時間換気を止めると今度は一気に二酸化炭素濃度が上がっていきます。
別の製品で二酸化炭素濃度も測ってます
この製品、温度・相対湿度に加え、絶対湿度、二酸化炭素濃度までわかるので、住環境をしっかり整えたい人にはかなりおススメです。
24時間換気を止めたらダメとなると、どうするか?
止めないけど、バランスを整える。
具体的には、
・二酸化炭素濃度が上がってこない
・消えかかったときに一酸化炭素濃度が上がっていない
この2点を実際に測ってやってみるしかありません。
家によって気密も違うし、換気計画も違うので、最適な答えは各家庭で変わってきます。
わが家はというと、ルフロのダイヤルを1.5にすることで二酸化炭素対策と一酸化対策のバランスが取れています。
一酸化炭素チェッカーで調べてみると。。。
初めて一酸化炭素チェッカーで調べてみたところ、54ppm。
| 50ppm | 許容濃度 |
| 100ppm | 数時間の呼吸後でも目立った作用はない |
| 200ppm | 1.5時間前後に軽度の頭痛を引き起こす |
| 400ppm~500ppm | 1時間前後で頭痛、吐き気、耳鳴り等を起こす |
| 600ppm~1000ppm | 1~1.5時間前後で気を失う |
| 1500ppm~2000ppm | 30分~1時間前後で頭痛、めまい、吐き気が激しくなり、意識を失う |
| 3000ppm~6000ppm | 数分で頭痛、めまい、吐き気等が起こり、10分~30分の暴露で死亡 |
| 10000ppm | 直ちに意識喪失、死亡 |
50ppm程度なら大丈夫なんじゃないかと思ったのですが、調べてみると低濃度、長期間の被ばくでも精神機能の低下(判断力障害、記憶障害、無気力)が起こりえるということだったので、24時間換気を弱めることで対策しました。
結果、一酸化炭素濃度は0にはならないものの、毎回最大値で15ppm以下に抑えられるようになりました。
24時間換気で空気が入れ替えられていることもあって、起床時には数値は0になっているので、たぶん本当に一時的なのだとは思います。
ちなみに調整の過程で24時間換気を止めてみたこともあるのですが、二酸化炭素濃度が上がりすぎるのでおススメしません。
高気密高断熱住宅での薪の使用量
高気密高断熱住宅とひとくくりにしていますが、1種換気か3種換気かでかなり変わってくると思っています。
わが家はルフロを使用したダクト排気の3種換気。
高気密高断熱とは言え給気で外気の影響をモロに受けるため、1種換気に比べると明らかに室温の上下は大きいです。
といった前提のもと、ある日の運用データを公開します。
| 外気温 | 1℃ |
| 室内気温(薪ストーブ使用前) | 20.7℃ |
| 室内気温(薪ストーブ1時間使用後) | 28.1℃ |
これはあくまでも、薪ストーブ正面(3mほど)の位置にある温度計の数値です。
部屋ごとの詳細な温度データも後ほど紹介します。
これが焚きつけ時の薪の量。家を建てるときに出た建築端材を焚きつけに使っています。

その後使う量も含めると1回の使用量としてはだいたいこれくらいです。

高気密高断熱なら薪の量がちょっと少なくて済む
薪ストーブは薪ストーブ本体が暖まってようやく部屋が暖まっていきます。
なので薪ストーブを暖めるために、その時点でそれなりに薪の量が必要になるので、ものすごく少なくて済むかというとそんなことはないです。
ずっとつけっぱなしでは使っておらず、冷えてきたらまた点ける感じで、寒い日で朝と晩に二回焚くくらいのスケジュール感で使っています。
この使用条件だと、1シーズンでおよそ1~1.5トンほどの薪を消費することになります。
もちろん住んでいる地域、最低気温、24時間換気の換気方法、薪ストーブの機種にもかなり左右されると思うので、あくまでも6地域で3種換気でこの使い方をした場合ということで参考にしてください。
薪の使用量についてはこちらのサイトでもかなり詳しく書かれているので、ぜひこのサイトで書いてあることと比較してみてください。
薪ストーブで後悔する理由(その1)/株式会社 愛研大屋環境事務所
どれくらいの時間で暖まるか
こちらがとある日の朝の焚き付け前の温度データ。

オレンジの丸はサーキュレーターで薪ストーブ横の壁に向かって風を送って空気をかき混ぜています。
右下の部屋だけ温度が低いのは、温度計の位置が窓際にあるからだと思います。
建築端材であれば、焚き付けから30分で大部分が燃焼し5~6℃の上昇。
そこから追加で薪を入れて、しっかり燃やせば焚きつけから1時間で近くの空間であれば8~10℃近く温度を上げることが可能です。
そしてこれが焚いた後のデータ。濃い赤字は1時間後、真っ赤な文字は2時間後のデータです。薪自体は1時間後に入れたのが最後です。

わが家ではリビングの室内温度20℃くらいで薪ストーブを焚き始めるので、1時間ちょっと焚けば薪ストーブから3~4メートル範囲は28℃近くまで温度が上ります。
それ以上離れれば離れるほど暖まりにくくなって、例えばリビングが8℃上がった時でも、家の端であれば2~3℃の温度上昇でとどまっています。(その代わり温度が下がるのも遅いです。)
1時間での薪の量はというと、先ほどの焚きつけの写真の薪を燃やしてから、だいたい30~40分経った頃にあと2~3本薪を追加したくらいの量です。
暖かさがどれだけの時間維持できるか
これもかなり外気温に左右されます。
朝焚いた場合は日中に気温が上がり、リビングに日射が差し込むこともあって、夕方まで暖かさを維持していることもあります。
気温が下がっていく夜については、リビングの温度計でいうと1時間で1℃ずつくらい室温が下がっています。
リビングの温度計は24時間換気や差圧給気口に近く、外気の影響を受けやすいため1時間に1℃ずつという早いペースで気温が下がっているのだと思います。
薪ストーブから離れれば離れるほど温度の上昇と下降は緩やかです。
終わりに
わが家で使っているネスターマーティンH33は鋳物ー鋼板-鋳物の3層構造なのもあって、なかなか本体が暖まりにくいです。
その代わり一度暖まると長時間暖かさを維持しているので、温度上昇や温度維持は機種選びでもかなり変わってくると思います。
薪ストーブは薪の手配や焚き付けの手間など、エアコンと比べてかなりハードルが高いですが、正直薪ストーブを使い始めると快適すぎてエアコンには戻れないです。
後悔の無いようにしっかり調べて導入して、楽しい薪ストーブライフを過ごしていただく力になれれば幸いです!
